『六道絵』
『六道絵』の作者は寺伝では有馬慈心坊というが、どのような人物であったかは不明である。制作年代は、図柄の示す目蓮救母説話や描写様式から鎌倉後期(十四世紀初頭)と考えられる。
六道とは、善悪の業によって生まれ変わる6つの世界のことで、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道のことである。
世の『六道絵』は比叡山横川の恵心僧都の『往生要集』の影響が大きいが、救済の思想が殆ど認められない。しかし当山のものは残忍で悲惨な描写があり見る者に強い印象を与えるが、目蓮救母説話(目蓮が餓鬼道に墜ちた母を釈迦の教えにより救った話。)など、地獄における亡者の救いが具体的に描かれているところに最大の特徴がある。
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